(2011年記事 トヨタ ウィッシュ 著:ヒラリー)
5ナンバーサイズの7人乗りコンパクトミニバン、ウッシュ。2代目となりましたがベースは初代と一緒。運転した感覚の安っぽさもほとんど一緒。しかしそれでいながら装備は充実、お得感は一段アップし、外観は価格以上に高級感を感じさせるデザインへと進化しました。
ポジションはコンパクトでワゴンのように使えるローループミニミニバン。コンパクトミニバンとも呼ばれます。ライバルはストリーム、プレマシー、ラフェスタと、コンパクトカーの全長を長くしたようなクルマが揃います。
2代目となるウィッシュはベースや足回りは初代とほぼ一緒。その分、装備に対するコストパフォーマンスは群を抜くお得さを誇ります。
1800ccの特別仕様車となる「X」HIDセレクションは188万円で横滑り防止装置、サイドエアバッグ、ディスチャージヘッドライトが標準。もちろん本皮巻きハンドルにオートエアコン。1クラス下のコンパクトカーと比較しても、単純にお得感で比較すればかなり優位に立つ装備内容を持ちます。
クルマの基本的な内容と質感は先代ウィッシュと同様で、非常に低レベル。決してほめられるモノではありませんが、外観はグッと高級感を増し、大人でも満足できるデザイン。シンプルでシャープ、その中に都会的なイメージのディテールが組み合わされ、価格を感じさせない点が嬉しい。
先代ウィッシュが20代限定だとすれば、このウィッシュは30代でも乗れ、おまけに若々しいイメージまで付いてくるかもしれません。
筆者はこのウィッシュ、「1.8S」と「1.8X」に合わせて100キロほど試乗。自分のよく走るコースを試乗しました。
まずはエンジン、新しくなったパワーユニットはバルブマチックという仕様で、電子制御の領域が今まで以上に増えています。これによりパワーも燃費も10%アップということで、踏めばしっかりパワフル。普通のトヨタのエンジンと比較すれば、多少は高回転も回ります。
弱点としてはフライバイワイヤとなるアクセルペダルは、踏んだ量とスロットル開度が一致しないような違和感を感じます。速いと錯覚する場面、アクセルを戻してもすぐに減速しないなどレスポンスは今ひとつ。微調整もやりにくい。
しかしこの電子制御スロットルの違和感については、ウィッシュより早くデビューしたオーリスと比較すれば全然良くなっています。
また前グレード標準となる、7速モードに使えるCVTギヤ比?も結構高速型で、100キロ以下で遊ぶという使い方ではどうも今ひとつしっくりこない。変速してくれない事もしばしば。所詮1800ccなので低速で遊ばせて欲しいモノ。これからの煮詰めに期待します。
(といっても1800ccの割には結構速い。バルブマチックの効果か?)
またこのCVT、回転だけ先に上がって、回転数キープで速度が上がるタイプではありません。新しいタイプ。でも、急加速をしようとすれば、やはり回転だけ先に上がります。タイヤがホイールスピンしているような感じ。この時がCVTで一番ストレスがたまります。
この点では、ホンダのCVTの方が自然。電動パワステも自然。ここはウィッシュとストリームを比較するなら重要な部分。
またウィッシュ、「1.8S」と「1.8X」グレード間の違いはカタログ通りほとんど外観の差となりますが、タイヤの銘柄が違うというのはご注意を。運転して比較すると1.8Sの方が扁平率の低いタイヤを履いているのにも関わらず、多少スムーズに段差を越えます。
コーナーリングは、サスが固めなのでキビキビかと思いきや、全然。ハンドル切ってからヨーが立ち上がるのにワンテンポ遅れます。ということでもっさりしています。やはり背が低めといってもミニバンスタイル。セダンのような感覚とは全く違います。
直線でフラフラしているから、姿勢を崩しにくい、それもあるでしょう。見切りがわるいのもタイミングを掴めない原因。つまりハンドルを切り始める位置と切るスピードが掴みにくく、意のままに走れる感じじゃありません。
しかし、VSC(横滑り防止装置)が付いているから、大きめにフェイント使ったり、大きなフロント加重から向きを変えたり、思い切って運転することが可能です。
通常走行をしている分には、非常に低回転を保ってくれるウィッシュのCVTミッション。そしてゆっくり加速するときにもだいたい2500回転以下で走れますので、上り坂や中間加速の場合となりますが、3000回転付近から急に振動と騒音が高まります。
3000回転をキープして走ると、助手席の人からも、お尻がしびれそう、なんてクレームが。
古い実用エンジンと比較すれば、確かに上まで回るようにはなりました。しかし同じトヨタの旧型エンジン3S-Gと比較しても、振動の量はかなり多いと言わざるを得ません。これ、エンジンだけ比較すればホンダやマツダのエンジンの方が断然快適です。
質感だけみればダメダメなウィッシュのエンジンも、加速力という面では速い速い。1800ccでこれなら文句なし。
先代ウィッシュとまんま一緒といってもいい2代目ウィッシュの走行性能、残念ながらトヨタ車の中でもプリウスと並んで国産車中最も酷い乗り心地です。
トヨタのミドルサイズコンパクトFFプラットフォーム、つまり初代プリウスなどと共通です。もちろん衝突安全性も考えられた世代のシャシーですが、あまりに古いのは事実。
その中でも7人分の重量を考慮しなければならないウィッシュは、固めなのは仕方がないことながら、バタバタどうしようもない乗り心地。渋くてチープなショックアブソーバーに決して質を期待してはいけません。
段差の種類によっては商用バンのようにバッタンバッタンとリアがドサドサ。コーナーリング中に外側がバンプすれば弾かれてしまうような不安定さ。トヨタはスポーティと言いたいのかもしれませんが、とてもとても踏んでいける足ではありません。サスペンション付いてますか?と疑ってしまうほど。
はっきりいえばこのウィッシュ、現代のまともな車とは言い難い足回り。ボディの横幅が狭いのも関係するでしょうが、初代ウィッシュ含め試乗してみれば誰でもわかる、とってもケーハクな足回りです。
(タイヤの空気圧を低めにすれば、多少は柔らかく感じるようになりました。)
追記:2代目ウィッシュ、試乗する車により柔らかめなタイプもありました。マイナーチェンジ後のウィッシュは若干柔らかめかもしれません。大きなでこぼこでバッタン、は一緒です。
2011年夏に生産されたくるまのまっさらな新車の状態のウィッシュを運転してみて、多少乗り心地が良くなっている可能性も感じました。
ブッシュが柔らかいだけでなく、バネやショックが柔らかくなったような、そんな印象です。突っ張るだけの足回りではなくて、コンパクトカーレベルだけど柔らかめ。スタビはちょっと固め、個人的にそんな印象です。
走行10キロの状態でインパネやAピラーがカタカタ、トランク周辺もバタバタといった状態は相変わらず”ウィッシュ”でした。
それから、前期型で無かったネジのふたはしっかり追加されていました。

このクラスのコンパクトミニバンに内装どうこうという話は論外。それでも気になるのは小さめのシートと、傷が目立ちやすい固いインストゥメンタルパネル。室内に入った瞬間の満足感は全くありません。
ウィッシュの3列目は噂の通りタイトですが、ウィッシュを5人乗りワゴンとして考えると、まずまず広いラゲッジルームが確保できます。
乗り心地にさえ耐えられれば、1世代前のトヨタ・カルディナから乗り換えも考えられそうです。この観点から比較すれば、カローラワゴンやアベンシスワゴン、マークXジオなども価格の差はそんなに大きくなく、競合車種に。
同様の価格と内容で選べばカローラ。毎月数千円の維持費アップに耐えられるのならば、マークXジオやアベンシスワゴンがオススメ。
ウィッシュも2000ccを選ぶとすれば、上位車種とも価格の差はほとんど無く、装備に質感、すべての面でこれらのクルマが勝ります。
ウィッシュをしばらく運転して、車載の燃費計で17キロ。これは郊外の道を燃費を気をつけながら70キロペースで走った場合。普通に走って14キロ〜15キロ。1800ccの3列シートでこの数値は他のライバル車と比較しても上出来ではないでしょうか。
車両180万円でこれだけの燃費なら、月々のローンに燃料代を足した金額ではかなり安く済むはず。決して長距離を走りたくなるようなクルマでないため、つまり移動の手段として買うクルマだからこそ、燃費がいいことは重要なこと。
ちなみに結構踏んで回転数高めに走ったモードを含むと、同じ道でリッター13キロをメーターは表示します。実際にもっと悪いはずですが、ずっと全開な道はそうそうないですから。
実は伝達効率が悪いのがCVT全般の特徴。そのうちなくなると言われています。こんなCVTをミッションに使用しても、セルシオやベンツ並みの低回転で高速巡航できるウィッシュは、80〜100キロで巡航してもそんなに燃費は悪くありません。
(CVTと比較するとATの方が非常に高効率。)
車庫の事情でどうしてもコンパクトミニバンしか選べないといった場合、ストリームやプレマシーもありますが、トヨタのディーラーで買えるという長所も含めると、ウィッシュの低レベルな質感を差し引いてもいい勝負。
トヨタの綺麗なショールームと丁寧でしつこすぎない営業マン、そして多少ながらも下取りで勝る期待も。それならあとは値引き次第。中古車でウィッシュを買うなら別のクルマも十分考慮をぜひ。
ここまで欠点だらけが並ぶウィッシュ。確かにクルマ好きの方には欠点だらけのクルマですが、一般的な方が気にする維持費を考えると、俄然魅力的に。
燃費は15キロ弱が期待でき、良好。(コースはジオで13キロ、マークXで12キロ、セルシオで7キロという田舎道)。
燃費よく、タイヤも安価なサイズ、自動車税も安いと維持費は安く、装備の割に価格も安い。それでいながら外観のデザインは価格以上の質感を持ちます。
これらまとめると、クルマに興味がない人には最高のお得感を持つクルマ。また若々しいイメージも十分アピール。逆にクルマに質を気にする方は別のクルマを選択した方が幸せ。特徴のハッキリしたわかりやすいのがウィッシュですね。
車に興味がある方は、ウィッシュではなく外車を含む中古車など、同様の予算でまともなクルマを選んだ方が幸せかもしれません。
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ウィッシュ (前期)
ZGE20G - 2ZR 1800cc 2009年〜
46B24L
ウィッシュ (後期)
ZGE20G - 3ZR 1800cc 2012年〜
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ライバルと比較しての評価 |
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| エンジン質感 | |
| 駆動系質感 | |
| 足回りの質感 | |
| 内装の質感 | |
| 外装の質感 | |
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| お買い得度 | |



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