(2010年記事 スバル レガシィ 著:元自動車整備士)
5代目となるスバル・レガシィ。日本での発売前、ニューヨークのオートショーでそのプロトタイプが公開され、スバルらしからぬデザインとボリューム感、そして割安なお値段設定で、これはレガシィではない!なんていわれたクルマです。
本来、コンパクトサイズに質実剛健なシンプルデザイン、そしてライバルより若干割高な価格設定がスバル戦略lそしてレガシィの王道。そのぶん走行性能にはこだわっていたわけです。
元祖グランドツーリングワゴン(ステーションワゴン)というブームを巻き起こしたレガシィ。ワゴン全滅の中で生き残りをかけ登場しています。
昨今、コンパクトカー、ミニバン、軽自動車が圧倒的なシェアになっている中、5代目レガシィではボディとエンジンを拡大しプレミアム感を向上、またアルミボンネットフードなどを廃止するなどデチューンもありますが、割安感を感じさせる価格で登場となりました。 (トヨタの影響か?)
スバルと言えばインプレッサも同じくクルマオタクでマニアしか乗らない感じになってしまい、とにかく情熱過ぎる方が目立ってクルマオーナーだったりします。一般的に目立つクルマ、売れる車ではなくなってしまっています。
しかし今度の5代目となるレガシィは、デザイン的にも先代からの印象を残しつつ、スバルらしからぬ大変身をとげ、本気で売ろうとしている意気込みみたいなものが感じられます。 今までのレガシィのイメージからの脱却と、お手頃価格、そしてアメリカでも売ってやろうというボディサイズ。また精悍さより優雅さをイメージしたデザイン。どれもが今までのレガシィとは違っています。同じなのは車名だけ?
4台目レガシィよりも大きくなりワゴンが全長4775mm(アウトバックは1820mm)B4(セダン)が4730mm。全幅ワゴン、セダンともに1780mmとなっています。
先代の4代目レガシィよりワゴンで全長約95mm、全幅50mm大きくなっています。
そのため今まであった主力グレードの2リッターを廃止し、2.5リッター、2.5リッターターボ、アウトバックに至っては、水平対向6気筒3.6リッターが搭載された3.6Rと言うグレードができました。
4代目レガシィまでは、日本国内のユーザーに受け入れられる大きさを保っていた分、価格の割に小さいクルマでしたが、今回はアコードなどのライバル車に対抗する大きさと室内空間を確保しています。
そしてライバルであるロアーミドルサイズセダンを越える立派なボディサイズは、アッパーミドルサイズのセダン、マークXやティアナなども比較対象としてユーザーにアピールできるようになりました。
一般的にボディが大柄になると、サスペンションが柔らかめにセッティングできるなど、高級感という面ではレベルアップ。内装だってデザイン自由度が上がるはず。反面、低速域での動きはゆっくりになり、キビキビ感はなくなりやすい。もちろん、すべてのクルマがそうといえないところが面白いところです。
今回の5代目レガシィ、装備や技術的には特出して目新しい部分はありません。スバルという小さな企業のため、クルマの多くがキャリーオーバーで細部を磨け上げる方式というのは仕方のないところ。
装備的は普通に充実し、同価格帯のミニバンと比較すればかなり充実。直接のライバルとなるミドルクラスセダンと比較しても、ライバル比較で「横滑り防止装置」や、「電動パーキング」など充実した標準装備は素直に素晴らしい。
ボディサイズ、装備、両面からコストパフォーマンスに優れているのがわかります。
また、レガシィ伝統のビルシュタイン製のダンパーが付くグレードは、NAもターボもSパッケージという1番お値段の高いグレードのみの設定となるところが残念なところです。
しかしこれも、大きくなったボディにエンジンで従来と同価格をキープしているため、納得の部分。日本でも5ナンバーサイズに近いコンパクトなミドルクラスセダンが見向きをされない中、「でかくて安いレガシィ」という、魅力がすべてでしょう。
なにしろコンパクトカーでも上級グレードを買えば200万円に限りなく近づきます。プリウスなどのハイブリッド車だって、割高な分の価格は元が取れるか怪しい。自動車税は若干上がるとしても、クルマとして比較すればレガシィが断然お得。 ライバルのアコードと比較すると、一クラス違う価格帯です。
また初代ティアナなども同様のコンセプトだと思います。しかしスバルなら、走ることに熱意を注ぐ企業キャラクターという安心感がついてきます。安いがポイントとなっても、決して手を抜いていないクルマだと思います。
生い立ちと割安感についてで記事の大半が過ぎてしまいましたが、次は試乗してみての感想です。スバルのディーラーは長い時間、試乗させてくれます。
なにしろお得なだけじゃ、クルマ好きはクルマを買いませんからね。
今回乗ってみておもしろかったのが全車種標準装備(MTを除く)のCVTパドルシフト。今さら感がありますが、使ってみたらやみつきになる感じ。スバルはプレオの時代からこの7段に選択出来るCVTを提供しており、いい感じです。
そして新開発のトランスミッションCVTは、燃費向上はもちろん、コンパクト化を図り、全席の足下のスペースを広くしているのが実感できます。(知っているから気になる)
※いくらいいCVTといっても、所詮CVT。よくできたATほど良くはないです。
全体的には、走りどうこうよりも、快適性が高まったのが好印象。エンジンは4気筒にも関わらず、水平対向の嫌な音はますます消えて、また水平対向ならではのショートストロークエンジンでもトルク感は問題なし。排気量が増えた恩恵でしょう。
基本的には、レガシィ独特のボディ剛性感は薄れ、足回りも柔らかめ。でも通常のセダンB4・2500ccグレードだと、柔らかめとはいえ快適とはいえない乗り心地。サスペンションの動きが渋いんです。もちろん、ガチャガチャいうわけではありませんが、渋いショック+固いボディの組み合わせだと、乗り心地は悪くなる傾向があります。
車重が重ければショックの粗を隠せる訳ですが、例えばアルファードなんかは渋いショックそのまんまという感じで乗り心地最悪。なので一概に言い切れるわけじゃないみたいです。
スポーツ性という面では、レガシィならでは安定性がより磨かれ、ゆったりとした動きに。「ミニバンと比べれば良い足とスポーティ」 と評価できますが、同サイズのプレミアムセダンと比較すれば、4台目レガシィの時のように、全然いいね、というわけでもありません。同クラス同価格帯のクルマと比較すれば、普通です。
純正ビルシュタインのグレードでこそ、足回りについては比較をしたいと思います。
親会社のトヨタ(スバルはトヨタ陣営に)が先陣切って全車種標準装備化してデビューしたウィッシュにならって??横滑り防止装置や電動パーキングなど充実した新世代装備が標準装備となっています。
やはり自動車を運転する技術をいくら高めても、ドライバーには4輪独立での制御はできない以上、横滑り防止装置は非常にうれしい装備。スバルにはインプレッサもあるし、キャラクター的にもドリフトさせるクルマって感じでもないです。
しかし、動きがもっさりしてるクルマで、思い切ってフェイント振ってコーナーに入れる。丁寧というよりアグレッシブに運転できる、これだって横滑り防止装置のメリットだと思います。

室内に目を向けると、車体自体が大きくなった分、室内も広々、室内幅はすべてのグレードで10mm大きくなり、センターコンソールの幅も大きくして、助手席との間隔が結構はなれたと言う印象は、4台目レガシィをのられていた方には、すぐわかるでしょう。 これで快適性は大幅向上!
また、全長全幅ともに大きくなり、より長く取られたホイールベースのおかげで、後部座席が先代までと比べ広く感じられるようになりました。乗った感じも広々で狭さは感じられません。
特にリアシート、4台目レガシィまでがいかに狭かったかの証拠になっちゃいますが。
内装のデザインは、一言でいえばアニメデザイン。いわいるガンダムチックというやつです。最近はこれをアニメデザインというそうですが、日本原点のデザインかもしれません。直線多様の内装パーツと、角々しい作り、そしてシンプルすぎるシルバーパーツ、微妙に安っぽい。ぱっと見でも少なくても高級ではありません。またドアパネルのチープ差は代々レガシィと一緒。こちらは期待通りです。
先にデビューした3代目インプレッサもそうですが、サッシュレスドア(ドアに窓枠なし)ではなくなりました。コレは好き嫌いが分かれるところ、しかし、その分、静粛性と耐久性を向上させている点は評価したいですね。
価格はミドルクラスセダン、ボディサイズはクラウンクラスと、トヨタ車と比較すれば微妙なポジションですが、マツダ・アテンザやホンダ・アコード、日産・ティアナ、2代目アベンシスなどと比較すれば逆に標準的。
海外ではパサードなど、このクラスにコンパクトエンジン+ターボをパワーユニットに選ぶケースが増え、この2500ccメインというのはデビューしてすぐから時代遅れな感じも。
日本国内ではFFセダンは全く見向きされない状況で、特に若い世代では、セダンと言えばプレミアムクラス。大きくて高級、中途半端はかっこ悪い。こんな当たりが現実です。どうしても「高い=いい」というピラミッドがセダンの基本。ここから抜け出すならミニバンしかありません。
ちなみにトヨタで良ければFR+6気筒のマークXも同価格帯。トヨタが嫌いだから選ぶスバルのクルマ。しかしクルマとしての基本、昔ながらの価値観で選べば最もお得なのはマークXでしょう。
結局のところ、5代目レガシィ、オトク感は高いがそれはミニバンと比較してのこと。4代目が持つ圧倒的な特徴がなくなった方が寧ろデメリット。そういった見方からすると、パーソナリティ、趣味色が強いこのレガシィというクルマを、クルマ好きが積極的に選ぶ意味は薄れています。
安いから選ぶ、オトクだから選ぶ、それは、日産ティアナならわかります。でもレガシィのキャラクターは違うと考える人が多いはず。ということで、特別仕様車で魅力を増したグレードを期待します。それまでは、試乗しただけで思わず欲しくなってしまう他のクルマを探して下さい。
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ライバルと比較しての評価 |
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| エンジン質感 | |
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| 内装の質感 | |
| 外装の質感 | |
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| お買い得度 | |
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