(2011年記事 トヨタ ウィッシュ 著:ヒラリー)
今回の辛口比較・評価評論のターゲット車は、トヨタ・オーリス。欧州版カローラとしてクラスを越えたプラットフォームが使用されるオーリス。全く知名度のないクルマですが、トヨタ車の中ではクルマ好きに向けた通好みのコンパクトカーとしてラインナップされます。
筆者である私ヒラリー、ディーラーから特別試乗車として2週間ほどお借りし、約1000キロを走破しましたのでそのときの試乗レポート、評価をお伝えします。
※すでにオーリスにお乗りの方は読まない方がいいかもしれません。
このオーリスというクルマは、結構ワイドな3ナンバーサイズ。パッと見はヴィッツそっくりながらも、正面からみれば実に安定感あるデザイン。背が高く今風な印象そして短すぎる全長は所詮近所のお買い物クルマといったイメージと、実に微妙なコンパクトカーです。
とはいっても、このオーリスのシャシーは2クラス上のミニバンまで使用されるプラットフォーム。なんだかんだいっても期待してしまう内容です。
そしてオーリスの上位グレードにはブレイドという排気量の大きなエンジンを積むクルマもあって、それを考えても余裕のあるシャシーが想像できます。
(ブレイドは以前の試乗にて、ただ高いだけのクルマというのは認知済み)
オーリスの車内に入ってみると、比較的斬新な造形のセンターコンソールが目に付きます。前輪駆動FFだから、こんなセンターコンソールはいらないはずですが、手が込んだデザインは気に入る人も多いはず。
デザインは斬新ですが、内装各部がパカパカ、質感は所詮コンパクトカークラスといったところで、触ってしまうと実は良くも何ともない内装というのがわかります。塗装面も触ると妙にザラザラ。
オーリスの価格(170万円)を考えると、デザインと質感を総合して標準的といったところでしょうか。
積極的にいただけないのはスイッチの押し心地。エアコンスイッチなんてスイッチ中央を丁寧に押してもひっかかりがあります。ほんと1000円の電気製品といい勝負です。
逆にこれぞヨーロッパ向けカローラという場所はシート。高級感あるモケット生地ではないですが、ヨーロッパ車のような平織り生地を採用。このシートはほどほどのホールド感もあり、きちんとした運転姿勢で運転される方には適していると思える、なかなかいいシートです。
3ナンバーでワイドなボディサイズのため、疲れ知らずのゆったりした感覚、これは国産コンパクトカーで比較すればオーリスだけの特徴ですが、シート間の間隔は5ナンバー小型車と同様程度に狭い。そりゃ軽自動車と比較すれば広いですが、男2人がフロントに座るとアツぐるしく感じます。
何で?といえばシートはかなり内側に配置されて固定されています。わざとこういう設計にしたか、トヨタの効率主義で仕方なかったのか、詳細は不明です。
余談ですが、レクサスLSやセルシオのように、シート間の距離があると2人乗車でも断然快適。長距離も苦になりません。
エンジンは所詮1500ccなので、スポーティ感などについては割愛。経済性を重視したパワーユニットということで、比較そのものが無意味かもしれません。
でも、日産やスバルの1500ccよりパワー感あります。加速自体はやや良好。
運転してみてまず気になったのはアクセルレスポンスの悪さ。これは回転数がいくつでも、街乗りでも峠道でも、しばらくこのクルマに乗った後でも、全然印象は変わらず。さすがトヨタの初期世代CVT。
また扱いやすさも満点。 状況としてはアクセルペダルの遊びが2ミリ。問題はその先の5ミリ部分が特に酷く、丁寧に踏めば踏むほど、うんともすんとも言わず、その先ではいきなりスロットルが開きます。
こんな感じなので、出だしがワンテンポ遅れ、その後にいきなり加速し出す、まさに最悪な操作性。CVTの制御だってなじめない動きで?マークです。
またアクセルペダル全開での加速時は、回転数だけ先に上がって、6000回転弱を保ったまま速度が上がるタイプ。慣れないと、速度変わらず回転数だけ上がった時、ホイールスピンしているような感じになります。オーバーレブを恐れてアクセルペダルを踏むチカラを緩めてしまいます。
さすがトヨタ車、クルマ向けに向けたクルマでこのセッティングはホント消費者を舐めてます。いや、6気筒クラス以上ではこんなことはないから、低価格なクルマを買うユーザーを舐めているのか。
トヨタだって営業だって、これがまずいのは100も承知。それを平気で売る姿勢はまさにトヨタって感じですか。

レスポンスがめちゃくちゃなのと、ガバッと開くセッティングがされたアクセルは最悪ながらも、足回りについてはクルマのキャラクターを考えれば文句なし。お金掛かってるなぁといった印象です。
これはトレッドの広いワイドボディだからこそ、ともいえますが、剛性感ある足回りとステアリング系だって、試乗してすぐにわかります。
ステアリングの中立からコブシ一個の部分でもしっかり反応。コーナーで段差があってもはじき飛ばされるような挙動はあまりなし。飛ばせばアクセルオンでフロントの設置感がなくなるが、それはもう少し購入なクルマと比較しての話。オーリスは普通に少しハイペースで走る分には全く問題なしといえるサスペンション。
もちろん、これだけの足回りだから、道路の段差を越えたときの挙動だって、それはけっこう高級な揺れ方。重量あるクルマに近い感じといいましょうか、決して柔らかくはないサスペンションでそれなりに揺すられはしますが、あまり不快ではない感じ。このまま乗ってもいいかな、と思わせてくれるオーリスのサスペンションです。
それからオーリスのステアリングには、マスダンパーのような振動を打ち消す重りが入っているそうです。また、ハブベアリングのサイズがカローラ系シャシーより一回りでかいとのこと。解説マンが密かに教えてくれました。
見えないところにコストをかけるのはトヨタらしからぬところですが、実際にオーリスのステアリングを握ると、ステアリングに伝わる振動は少なく、段差の途中でもしっとりした回し心地です。
(この効果かどうかはわかりません)
前述のアクセルの特性に加え、扱いにくいのがブレーキ。これもどうしてもなれませんでした。ブレーキの制動力ですが、踏み始めは効きが弱く、途中からいきなり効きます。
さらに剛性感無く、踏むたびに効き出す位置が変わるような感覚。踏み力で制動力を予想しても、ぜんぜんダメ。全く思い通りに減速できません。
リアのディスクブレーキなんかいらないから、しっかり調整して煮詰めてから販売して下さい、トヨタさん。
ということで最悪のアクセル(つまりミッション)とブレーキを持つクルマ、オーリス。この点だけなら軽自動車だってもっといいものがごろごろあります。
ということで、アクセルとブレーキでマイナス100万円、足回りの剛性感でプラス30万円、価格から差し引きマイナス70万円、つまりヴィッツと同じくらい。このくらいがオーリスの適正価値ではないかと考えます。
しかしほんと、オーリスは惜しいクルマです。アクセルとブレーキさえマトモだったら・・・。CVTではなく普通のオートマだったら・・・。このままだと落ち溢れクルマといわれたまま消えていく運命を想像させてくれます。
もう少し磨き上げれば、価格的に見てもヴィッツの1500ccよりも断然お得。アクセラやインプレッサと比較してもトヨタのサービスで満足。普通に運転できるコンパクトカーとしてクルマ好きにも耐えられるコンパクトカーという資質だけは感じさせてくれます。
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ライバルと比較しての評価 |
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| エンジン質感 | |
| 駆動系質感 | |
| 足回りの質感 | |
| 内装の質感 | |
| 外装の質感 | |
| 快適性 | |
| お買い得度 | |
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