「アルト」試乗評価P2・運転感覚とドラポジ、乗り心地

自動車購入の比較・評論・メーカー別評価スズキ
自動車試乗比較・評論メンテナンス情報ヘッダー画像
乗り心地や燃費、エンジン質感評価・間違いいっぱいの自動車選び
 

(2016年記事 スズキ ハスラー
著:桃花&ヒラリー男爵)

スズキ
  • グレード:“L (CVT)”
  • 型式:HA36S
  • 車両価格:89万円
  • デビュー年:2014年12月

アルト試乗レポート「2」

間違いいっぱいの自動車選び。試乗車はスズキ・アルト。型式HA36S。2015年式でグレードは“L”、ミッションはCVT。多くの話題を持って登場した地味だけど地味じゃない1台。

当ページは2ページ目です。「運転感覚とドラポジ、乗り心地」などを掲載中。


  1. 分割page - アルト「1-1」・概要とエンジン・ミッション、試乗時燃費
  2. このpage - アルト「1-2」・運転感覚と乗り心地
  3. 分割page - アルト「1-3」・内装をミライースと比較その他
アルト・インパネ1アルト・インパネ2

試乗:運転感覚

アルトのドライビング感覚

アルトを運転していて最も好ましいフィーリングなのは、ドライバー1人乗車の場合。アルトというクルマのポジションを考えれば最で、そうした使われ方が多いと多いと思う。大人2名以上の乗車だとフィーリングがけっこう変わってくるので、そうした前提で運転感覚を上げてみる。

運転している感が強い、運転感覚

運転席シートハンドルや足回りから受ける印象は、乗用車というより商用車的。硬派な道具っていうか、優雅な乗り味より運転のしやすさが重視されているように思う。ハンドルを回す、コーナーを曲がる、直進する、こうした部分が運転しやすい。

最も好ましいのは直進時。運転している時間の中で、最も長い時間を占めるのが直進。このアルトはドライバーに伝わる何かによって直進がしやすい。目に見える情報だけで直進するクルマがゲーム感覚だとすると、もっとこう違う情報まで含めてドライバーが判断できるというか、後手後手に修正するんじゃなくて無意識に先手を取って調整している感じ。
ステアリング中立付近が変に味付けされた無いのもいい。

日常的なコーナーリングでは、こちらも好印象。軽自動車として標準的かそれ以上に、何も考えなくても気持ちよく曲がれる。同じスズキでもハスラーに試乗した時は、コーナーで神経を使う必要があった。それと比較してもアルトの方が気楽にハンドルを切っていける。

特徴として上げればハンドルにはやっぱり曖昧さがある。また回す量も大きくダルさもある。これは軽自動車として標準的だし、ヴィッツなどコンパクトカーの一部でもそう。たしかに安っぽいんだけどこれだけが走り安さの基準ではないみたい。

参考:ハスラー試乗レポート / ヴィッツ(3代目)試乗レポ

日常的に特殊な挙動が体験(できる場合もある)

コーナーが連続する道を走った印象。性能が低く、かつ体に馴染みやすいクルマというのは、ついついコーナーリングを楽しみたくなる。
アルトはそんな類のクルマだから、スポーツカーじゃないのにワクワクしちゃう部分があったりする。走ってみればやはり軽自動車は走行ラインに余裕があって急な動作を減らせる。逆にわざとタイヤを滑らせるように急な動作をすればグリップは簡単に途切れる。旋回ブレーキなんか試せばあっという間にABS介入。普通は高い速度じゃないと味わえない、ズルズルしたりゴゴゴゴしたりという挙動が日常的な速度で味わえる。

走りが楽しいか??アルトの場合は「楽しく走りたくなるクルマ」という言い方がしっくりくる。次元が低い分すぐに飽きちゃうかもしれないけれど、そしたらステップアップすればいいし、そうなったらクルマの楽しさから離れられないかもしれないねw

ズルズルといってもツルツル滑っていくわけじゃない。一応横滑り防止装置も付いてる。でもなんか、こうした性能が普通だった時代のドライバーって、みんな運転を楽しんでたんじゃないかと思ったりした。

振動少ない、かつ自然さを感じるハンドル

ステアリング今回のアルトで最も驚いた部分、それがハンドルを握ったり回したりする感触。もちろん良い意味でね、凄く気に入った。

高級感さえ感じさせてくれるのが、ハンドルに伝わる微振動の少なさ。エンジンのかかる瞬間とか、回転数が上がっている時とか、その他の部分から伝わる振動は多いのに、ハンドルに伝わる振動は気にならないレベル。これは運転中、手が不快にならなくていい。
また路面からの入力に起因する振動やグラグラも、それなりにシャットアウト。

それからベーシックカーとして重要な、自然な感じの回し心地。中立付近を無理に固めてる印象もないし、応答は曖昧なんだけど運転しやすい部類。

さらに、サスペンション設計とかアライメントとかタイヤサイズからくる、軽自動車っぽいハンドルの回し心地や中立に戻す感じが、軽自動車離れしていて小型車に近い感覚。

振動をシャットアウトするとか、運転しやすさをキープするとか、相反する部分であったりする。ここはケチらず立派な部品を使っているのか、設計がスバラシイか、はたまた気合入った絶妙のセッティングなのか。なんにしてもハイレベルでまとまったバランスで、アルトのそれはとても良く感じる

試乗:乗り心地の快適性

車重の軽さをウリにしているクルマだから、試乗前に不安だったのが乗り心地。しかしアルトの乗り心地は予想外。市街地レベルの速度では軽量からイメージされるネガティブな面は気にならず、寧ろ時速40〜60kmあたりでは立派とも思える乗り心地だった。

タイヤシャシー

乗り心地のキャラクターは、乗用車というより商用車的。”ゆったり”とか”柔らかい”わけじゃないんだけど、スッキリしている。衝撃のカドだって丸し、ザラツイた路面でもそんなに不快じゃない

もちろん気になる部分もある。もう少し速度を上げるか、飛び跳ねるような段差に差し掛かると、空車の商用車みたいに感じる場面がある。

また2名以上乗車すると、車体下部からの音が目立つようになる。サスペンション接合部あたりからの音だろう。乗り心地は多少柔らかくなってるはずだけど、不快な音が目立つと乗員には、乗り心地が悪くなったように伝わる。そして安っぽさだって感じるように。やっぱり1名乗車に最適化されているなって。2名乗車は重量オーバーの可能性w

実のところ軽自動車って市街地での乗り心地が立派なモデルが多い。N-BOXなんて車格無視なほど上質な足回りで、フィットより高級な乗り心地だし、ムーブだってフロントサスの動きはすごく立派だし、デイズやEKワゴンは圧倒的な柔らかさで低速域での乗り心地がキープされている。

そんな中でアルトはどこに位置づけられるかと言えば、うーん難しい。一般的な乗り心地の良さとはちょっと違うというかなんというかで。とりあえず、大人気のハスラーよりは乗り心地が良いし立派。同じスズキの軽自動車といっても同じ乗り心地じゃないのが面白い。

参考:フィット(3代目) / N-BOX / ムーブ / デイズ

リアシートの乗り心地が悪くない

リアシートの印象

リアシートの乗り心地が悪くない!積極的に良いと言えないのは残念だけど、ここに乗ってと言われて断る理由は全然ない。

価格が200万円を超えるようなクルマでも、リアシートの乗り心地が悪いクルマって多いでしょ? もしかしたらアルトの方がリアシートに座れるクルマかもね。
ミライースのリアシートに試乗した時は、「このくらいでガマンしなきゃ」という意味合いが強い「そんなに悪くない」という感想を持った。アルトの方がもっとポジティブにそんなに悪くないといえる。

広さが十分なのは予想通り。横方向の狭さも、1世代2世代前の軽自動車と比較すれば気にならなくなってきた。そしてシート質感とか着座姿勢とか静粛性なんかは逆の意味で予想通り。車格なりでこんなもの。

中身長まで対応のドライビングポジション

アルトは全高が低い。だから高身長のドライバーはきついと言われる。試乗すると身長160cmの女性と172cmの筆者だと問題なし。182cmだとまともに運転できないほど問題あり。

全高はカタログ寸法で1475mmとなっている。数値だけ見れば、低いといってもスポーティクーペからすれば15〜20cmくらい全高が高い。だから全高が低いのが問題じゃなくて、中背までのユーザーに最適化されてるんじゃないかと思う。その分というか、筆者の場合は他の軽自動車”より”は、まともなドラポジがとれた。

運転席を後ろから撮影してみた

ハッチを開けて運転席を後ろから撮影。画像左は、身長172cmの筆者。ルームミラーの位置やルーフとのクリアランスも、大きな問題がないのは写真を見てもわかる。

画像右は、182cmの当サイトスタッフ。オレンジ色の部分がシートからはみ出した体のシルエット。まず、シートバックが大きいのがお分かりいただけるだろうか。誇張なしで、一般的なコンパクトカーよりでかい。体とシートの接点が増えると、クルマの情報がわかりやすくなるって利点がある。

それから、ルームミラーの位置などにも注目して欲しい。広角レンズなのでという前置きをさせていただいた上で、ルームミラーは正面もしくは見下ろす位置に。なので、シートバックの角度を寝かせるなど対策を取ることになり、クルマに合わせたネガティブ思考ドラポジを強いられる。

残念ながら体が大きめな方は、アルトは選択肢から外さなきゃならないかもね。

乗用車っぽさと商用車っぽさ

ビールの味は実に難解。子供が飲めばマズイと言うだろうし、味覚が発達した大人でも、体調によってはマズイと言うだろう。お酒はみんなが美味というから美味なのかもしれないし、酔う作用があるから美味しく感じるのかもしれない。ビール好きの筆者だって、最初は美味しいという認識はなかった。

何が言いたいのかw 「乗用車らしい」ってどんな意味、みたいなね。乗用車っぽいってよく聞く言葉でしょ。

乗用車っぽい良さってわかりやすい。「柔らかくてマイルドで静か」という感じかな。こういう乗り味が高級と教えられたからそう感じるのかもしれないし、単純にわかりやすい良さなのかもしれない。

では商用車っぽい良さというと難しい。筆者は「運転がし易い部分がある」と思っているけど、わかりやすい乗用車的な良い部分が、わかりやすい欠点として持っているのがいっぱいある。


以前、トヨタ・プレミオと、同じくトヨタのタウンエースを同時にお借りしたことがある。

プレミオ内装プレミオ内装2

2014年式のトヨタ・プレミオ。車両価格203万円。

2015年式のトヨタ・タウンエース。車両価格181万円。

エンジン排気量はどちらも1500ccで、ベースグレード同士なら車両価格も似ている。しかし見た目の違いはご覧の通り。誰がどうみてもプレミオの方が立派に見えるでしょう。

プレミオはトヨタ車的高級感を200万円で表している。地味だけどトヨタらしさ満点で魅力あり。一方のタウンエースはほぼ商用車。飾り気などどこにもないんだけど、プレミオを運転した後にタウンエースを運転すると、びっくりするほど運転しやすい

スロットル制御やサスペンションは枯れたコンポーネンツと予想され、乗り心地はドタバタでゆったり感はないんだけど、思い通りに運転しやすいんだよね。プレミオの方が運転しやすそうに見えて意外な結果。見た目に騙されちゃだめって事ですな。だからアルトも、商用車っぽいというのは欠点であるけれども長所でもあるのね。キャラクターの違いというやつ。

アルト・メーター昼アルト・メーター夜間

神経を使うブレーキ特性

ペダルレイアウト「丁寧なブレーキを掛けようとしたら、思ったより減速しなくて踏み増しする」とか、「速度が落ちてきたからブレーキを緩めたら、緩みすぎて飛び出す感覚になった」とか経験した事ないだろうか?

アルトのブレーキはこんな事が頻繁に起きる。つまり思い通りの減速ができない。言い換えると滑らかに停止させるのが難しいとも言えるかな。
アクティブに運転していれば、ABSが介入している時のコントロール性にも不満が出る。

同乗者が気にならないほどのカックンカックンなんて気にしなくてもいいんだけど、理想としてはできれば滑らかに減速したいもの。ブレーキは気にしない顧客が多ければいいって部分じゃないと思うんだよね。ついでに型式HA36Vになるアルトバンは基本ABSなし。

軽自動車でも扱いにくいブレーキ特性は減ってきてるし、アルトもここは妥協しないでほしい部分。

スズキ アルト

スズキ自動車

アルト

  • テストグレード:“L”
  • ミッション:CVT
  • 車両型式:HA36S
  • 新車時価格:89万円

当記事は「桃花」と「ヒラリー男爵」がお届けします
桃花ヒラリー男爵

系列サービスでご紹介中!

「自動車保険一括見積り」の比較。見積もりはメールか郵送で安心。
保険一括見積りサービスの比較サイト

系列サービスでご紹介中!

法人、個人事業主の「ETCカード」。複数枚契約が可能。審査無し?
セディナなど法人ETCカード

適合バッテリー

アルト

HA36S - R06A 660cc 2014年〜
確認中

インターネットでバッテリー価格を確認
国産車バッテリー








シートバックの大きさは大きい。大柄な男性でも納得のサイズ。ただし、視界や天井のクリアランスの問題から、身長高いユーザーには厳しい。


辛口試乗レポートと合わせ、独断と偏見による5段階評価。同価格帯の車との相対的評価を掲載。

仕事柄ホンネを書けない?自動車評論家さま。対して閲覧ユーザー減少が怖い私達ウェブ制作者。
私達はアクセスしていただくために、ユーザー様のお役に立てることを優先します。

自動車のイメージ
長所短所を明確に、辛口評価(言いたい放題)
中古車購入にも役立つ自動車評価評論・試乗レポート。同価格帯で5段階評価。
「エンジン質感」「駆動系質感」「足回り質感」「内装質感」「外装質感」
「快適性」「コストパフォーマンス」

総合サイトマップ 間違いいっぱいの自動車選び http://car.oka-hero.co.uk/ 当サイト記事の転載を禁じます。

試乗比較しにくい中古車購入の時こそ、中古車購入時にも役に立つレポートを送り続けて16年。これからもドライな試乗レポートでお楽しみ下さい。