間違いいっぱいの自動車選び。当ページ試乗レポートは4代目となる日産マーチ。型式は「K13」です。デザインが魅力だった先代マーチから一新。デザイン以外で勝負しなければならなくなった正当派コンパクトカー。内容は如何に?
※内容は辛口評価です。ディーラーで試乗の際にぜひともチェックしたいポイントなどを掲載中です。
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今回のK13マーチはご存じの通りタイの工場で生産される輸入車。世界全体ではインド・メキシコ・中国で生産。これはクルマがよければ良いという問題を越えて、日本人ならマクロ的な経済を心配をしなければならないほど残念な事。せめて最終的な組み立てだけでも日本で・・・と思わずにはいられません。台数多いマーチですよ!自動車って日本の基幹産業ではなかったでしたっけ?
タイ生産ということで、クルマに影響はあるか?現状では答えはイエス。日産はそんなことは無いと強調しているらしいが、実際にはちょっとなんか...みたいな。何がと言えば細部の質感が今ひとつ。工業的精度というか緻密感の不足というのか、例えばボディのチリはあっていないし隙間も大きい。ボンネット左右の隙間は違うし、テールゲートとリアフェンダーの隙間はミリ単位で異なる。またルーフとCピラーとテールゲートの集合する部分、ルーフ最後部は各面がバラバラ。
こうした部分、クルマ好きが見ればすぐわかります。立派な国産車に見慣れているわけで、いいモノ感は大きく不足。もちろん走ればいいというなら問題なし。
自動車は宝物なのか道具なのか?知らずに買って後悔するのはきついので(真っ先に)触れておきました。筆者も「ハマった」経験を何度もしてきましたし笑
では試乗レポート。内装のデザインを一言で表せばアジアンテイスト。質感は商用の軽自動車レベル。コンパクトカーという枠を越えて目に見える質感は低い。インパネやドアトリムなど内装内張り全般でそんな感じ。
良い部分だって見つけた。それはメインメーター。速度メーターは光の安定した白照明で視認性がいい。
メーターは実用性の高さを重視したタイプ。では実用的な面でどうしても気になる点は?気になるのはシート、スイッチ、ステアリングのチルト操作レバーの3点。
ステアリングのチルト操作レバー、なんだかやりにくい。物を動かすコツを掴むのが得意な方なら問題なし。逆にコツを掴みにくい人、チカラを入れすぎてレバーを折ってしまわないように。そう、そんな貧弱さと扱いやすさを併せ持つ。頻繁に操作する部分ではないけど、そんな不安を感じさせるのが問題だ。スイッチ、シートについては後述。
インパネ周辺を同じコンパクトカーで比較すると、初代スイフト、2代目スイフトと同じような質感に見える。部品点数の少なさ一緒。パネル表面の品質感一緒。これらのモデルは時代が異なります。同世代のヴィッツやフィットには残念ながら及ばず。
しかしこのマーチの内装、実はとても頑丈に出来ていると思わせる。インパネ各部やピラー内張をパンパン叩いてみても、ガッチリ止まっているのが確認出来る。日本車はマークXクラスだってベコベコで頼りない部分があるのに、マーチはどうしちゃったの?てなくらいガッチリしている。
日本の道だって舗装の荒れた路面はいっぱいある。これで時間的劣化しなければ!マーチの隠れた長所です。
運転しながら操作する必要がある自動車の各スイッチ。触り心地は質感だけでなく安全性にも関わってきます。手元を見ないで、何も意識せず操作できればそれが一番いい。ではマーチは?
まずエアコンの操作ダイヤル。クタクタのグニャグニャでまるでこれは300円のおもちゃか!って感じ。先代(3代目)マーチより退化した気がする。スムーズに動かず、さらにカチッと節度というか区切りがないから感覚のみで回すタイプ。
ここから想像できるは、今やコンパクトカーでもオートエアコン有りき?マニュアルタイプだって利点があると思うんだけどね。
次にシフトセレクター。シフト操作はストレート式。固くて渋いので操作にはチカラがいる。だから、PからDに動かすと、勢いでLまで行ってしまう。つまり操作性悪し。タコメーターがないから、周りがうるさい市街地ではLに入ったのを気付かないことも。
エアコン操作もシフトセレクターも、マーチに限ったことじゃありません。操作しやすい方が貴重。
マーチのスイッチでいい点。しっかり見つけてきました。それは、スポーツモードのスイッチ。このスイッチがいい場所に着いていました。場所はシフトノブ。ちょうど一昔前にオーバードライブのオンオフスイッチがあった場所です。手元を見ないで、感覚で押せます。
山道だけでなく、上り坂でぜひ使いたいスポーツモード。CVTの巡航回転数が”少し”高くなって、例えば東京ゲートブリッジの上り坂だって、一定の速度で上りやすくなります。この”少し”回転が高くなるというのがポイントで、気軽に使いやすくなってます。
※マツダ・デミオも同じ位置にSSモードに切り替えるスイッチがあります。
走り出すのにアクセルペダルを踏み込むと、自然で飛び出し感がないのがいい。手前10%を越えるとその先はスロットル早開きを感じるが、アクセル開度3分の2以上の部分でも、反応があり、コントロールしやすいタイプになっている。扱いにくいコンパクトカーが多い中で、さすが日産と思えるセッティング。
今回エンジンは3気筒。走り出せばそれなりの振動を感じるし、ガーガーという3気筒らしいノイズも盛大に出すが、アイドリング時の振動はあまりない。アイドリングストップも付いているので、停止時は全く問題なし。
例えばトヨタ/ダイハツの1000cc3気筒エンジンと比較すれば、質感は上。
加速力については、至って普通。高速道路でも合流は厳しいが、本線走行中は120km/hくらいまでは実用的な加速力があるので問題もない。ただしCVTがとにかく低回転を選択するので、上り坂のでは瞬間的なトルク不足を感じる。上り坂で一定の速度をキープしようとするとなかなか難しい。こんな時はCVTをスポーツモードに切り替えてあげれば問題は解決する。
CVTのクルマでは、エンジンの質感と同じくらいCVTの制御が重要で、これによってエンジンの評価さえ変わってしまう。タコメーターがあってもなくても、回転の上がり方なんて評価は非常に難しい。
そんなCVT、マーチの場合は一つ特徴がある。一つ気になる部分がある。それは加速しおわってアクセルを緩めるといったシチュエーション、この時に一気に回転が落ちる。あまりに素早く変速されるので、変速ショックと飛び出し感がある。またキーンというCVTの音は結構な領域で聞こえてきます。
足回りは固め。小さいボコボコはホント良く拾います。走ってる限りはどこでもボコボコを拾っている感じです。
だから普通に走っている分には乗り心地は固い。ショックアブソーバーのフリクションも大きそう。タイヤも固そう。しかし、悪路やガタガタが酷い道では評価は一転。悪路での乗り心地は良い。というか気兼ねなく走れる。
ガタガタが気になって減速するような場所、どこでも通勤中に一カ所はあると思いますが、そんな場所だって気にする必要はありません。クルマが痛みそうだから減速、そんな必要は全くなし。決して足回りがスルスル動いている感じはありませんが、大きなデコボコだと多少はショックアブソーバーが仕事しているハズ。結果、初期は固めでも大きく荒れた場所での乗り心地は気持ち良し。足回りブッシュからのガタガタという音もそこまで大きくない。
内装のインパネ周辺を叩くと、音はパンパン。同世代のデミオやノートと同じ傾向で、無骨なデザインの方がベコベコいわない?
マーチは特にインパネ中央〜奥に掛けてはけっこうカッチリはまっている感があるので、とりあえず新車時〜しばらくは内装からのカチャカチャ音やミシミシ音に悩まされる事がないのが予想できる(2〜3年後はわかりません)。
さらにいえば、車両価格の安さからクルマのヤレやカチャカチャ音発生を気にすることもないコンパクトカー、そのあたりの心理状況からも、気楽に乗れる。
まとめると、ボコボコ道を跳ねる感覚はジムニーのよう。個人的に気持ち良し。コンパクトカーのカタチをしたクロカン系?、実はマーチってそんなクルマなんです。タイの荒れた道も何のその〜。そんな感じさえ抱いてしまいます。
追記:後日レンタカー(埼玉県のお店、ボディカラーグリーン!)を運転したら、インパネ周辺からカタカタとノイズが。やっぱり、普通の国産コンパクトカーと大差ないかもしれません。
ハンドリングについては、街中での低速域では至って自然。電動パワステもだいぶ自然なフィールになってきました。
ステアリングの回し心地はなんだかザラザラ感があって、摩擦音のような何かも聞こえ、精密感は感じないが、かといって軽トラックのように荒っぽい感じでもない。
ワインディングでは、ちょっと頂けない不正確なステアリングフィールを感じる。最近ではこういった自動車が少ないために不思議な感覚さえ覚える。アクセルやブレーキの操作性がいいのでちょっと飛ばしたくなるのだが、速度を上げていくとどこかフラフラする。
そしてコーナー、速度によってステアリングレスポンスが異なる。低速で普通だとすると、少し速度を上げるとワンテンポ遅れ、またもう少し速度を上げるとツーテンポ遅れる。
剛性感無し、コーナーによって感触が違うので、なかなか思い通りに走れない。
原因は何なのか?タイヤかもしれないし、剛性不足によるアライメント変化かもしれない。
昔のマーチとは違ってアクセル全開をキープすれば1200ccでも結構加速する=それなりに速度がでる。速度が出ればステアインが遅れる可能性があれど、速度を上げていった際のコーナーリング特性は強いアンダーステアだから安心して走れると思う。
筆者レベルでは少しペースを上げてみても、少々強引な動作をしてみてもオーバーステアはでない。旋回ブレーキでもリアが出にくいので、それではということで走行中、ハンドル切ってサイドブレーキを引いてみました。何の為って興味本位w
舵角が少ないときにはタイヤがキーキー鳴り出します。大きくハンドル切ってサイドブレーキを引くと、ピーピーとブザーが鳴り出します。挙動はもちろん、アレです。
アンダーステアが出る前の領域でハンドル切ってクックッっと。前が滑っちゃってからじゃだめですよぉ。
わかった事。サイドブレーキを戻すのを忘れて走行すると、ブザーで教えてくれる。サイドブレーキ引きずったまま走行すればブレーキがフェードしてしまうから、これは有用な安全機能。
時速80kmからのフルブレーキテストをすると、ABSの介入はしっかりわかりやすく、タイヤがキーキーいう前からABSが効き始めます。その際の動作はゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴッと制御はゆっくり。ブレーキペダルにくる振動もこんな感じなのでビックリすることも全くなし。目一杯ブレーキペダルを蹴っ飛ばしても挙動が乱れることはありません。いつでもどこでもどなたでも、安心して使えるABSです。
タイヤのせいもあり、制動距離は気持ち長め。そこで、マーチはブレーキのコントロール性がいいので、様々な踏み方を試してみました。
ブレーキペダルは、ガツンと蹴っ飛ばすように踏むと、すぐにABSが介入する。減速感は少ない。ただし、ビビッて強く踏めないよりはよっぽどいい。
同じ強く踏むにしてもジワッと強く踏む。ABSの介入は最小限だし、減速感も強い。速度が落ちたらブレーキ踏み力を少し弱めるとなおいい。減速感は変わらず。
ABSが付いていない自動車が当たり前だったころ、ブレーキング時のタイヤのグリップは風船に例えられました。思いっきり割ろうとすれば一気に割れる。ゆっくり割ろうとすればなかなか割れない。今もタイヤのグリップレベルが低いときには有効みたいです。でも、一番危険なのは、緊急の時に目一杯ブレーキを踏めないこと。ジワッと踏むのもなるべく素早く、ビビッてハンドルだけで避けようとしないことが大切です。
パニックブレーキは4輪全部をロックさせるようにとにかくフルパワーで。全力でペダルを蹴っ飛ばす訓練も大事。
K13マーチはピッチング速度もコンパクトカーの中ではゆっくり目。前後方向にピョコピョコしにくいこれも合わせてブレーキが扱いやすい。
タイ生産のK13マーチ、新車時装着タイヤはどんなタイヤが付いてる?タイヤも聞き慣れないタイ銘柄でした。
タイヤは「MAXXIS MA-307」。サイズは「165/70/14」。
とにかく固いタイヤというのが第一印象。空気圧2.2キロで走行していて、やけに固く感じたのでタイヤのサイドウォールを触ってみると、やはりカチカチのパンパン。こりゃ空気圧3キロくらい入っているのかと勘違いしてしまうほど。
試しに空気圧1.5キロまで抜いてみましたが、サイドウォールの固さはあまり変わらず。地面に設置しているあたりも思ったより凹まなかったような。新車時はこんなタイヤなので、タイヤを交換する時には銘柄を変えればマーチのキャラクターはグッと変わるかもしれません。
日産 マーチ(4代目)
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ライバルと比較しての評価 |
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エンジン質感 | ![]() |
3気筒としてはよかった。音はいかにも3気筒だが軽自動車より静かなエンジン。 |
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駆動系質感 | ![]() |
ここはどれも50歩100歩。現状、我慢するしかありません。 |
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足回りの質感 | ![]() |
特別走りにくいわけじゃないんだけど、10年前の低価格車と大差なし。 |
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内装の質感 | ![]() |
走る分には支障なし。カッチンカッチンにはまっているのはとても良いと思う。 |
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外装の質感 | ![]() |
いや〜決して笑わないで下さい。パネルの合わせ、パーツの合わせ、軽自動車を下回る。 |
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快適性 | ![]() |
全体的にうるさい。ただライバル車もこんなもの。 |
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悪路乗り心地 | ![]() |
正確にいえば気兼ねなく走れる。田舎のたんぼ道を走れる。 |
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お買い得度 | ![]() |
カタチが良ければまだ比較する価値があった。軽自動車の維持費の安さに惹かれちゃう。 |
夜間のイルミネーションは最小限。ナビの画面だけ暗くすれば運転しやすい。
カロのラクナビを付けるとこんな感じ。
(光が反射しちゃってごめんなさい)
リアシートを折りたたむと大きな段差ができる。そしてフラットでなく角度がある。マーチの伝統。いちおう、角度があるといってもダイハツのミラ系のように酷い角度ではない。
アッパーマウントを固定しているボルトがない??メクラ蓋されている穴も。
タイヤを外してみると、普通にストラット。上部はどうやって固定されているのだろう。ボルト1本止めらしい。
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